イカメタルは「スッテ」と呼ばれる専用の疑似餌を用いて、ヤリイカやケンサキイカを狙う船釣りスタイル。
夜の海に灯された集魚灯の下、繊細なアタリを感じ取ってアワセる「掛けの釣り」は、ゲーム性が高く、近年注目の釣りジャンルです。
本記事では、イカメタルの時期や仕掛け、釣り方、エギングやティップランとの違いなどを解説します。

イカメタルに興味がある方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
イカメタルとは?


イカメタルとは、おもにヤリイカやケンサキイカといった細長いイカをターゲットに、夜間に船から狙うイカ釣りの一種です。
使用するのは「スッテ」と呼ばれるエギで、オモリの役割と疑似餌の機能を兼ね備えています。
エサを使わずに女性や初心者にも始めやすく、最近ではレンタルタックルを揃えた船宿も増えており、道具を持たずに気軽にチャレンジすることも可能です。
また、昼中に釣る「デイイカメタル」にも注目。
深夜の釣りで生活のリズムをくずしたくない方に適しているほか、夜よりも周りの景色が見えるぶん船酔いしにくいメリットもあります。
ルーツは漁師の道具だった


鉛スッテ1はもともと、イカ漁に使われていた漁業用の道具です。
これをアレンジし、釣り人が楽しめるように発展したのが始まりとされています。
漁具の性能を活かしつつゲーム性や操作性を高ることで、現在では全国各地のイカ釣りファンに広く親しまれる釣法になりました。
夜の灯りがカギとなる釣り


イカメタルは、おもに夜に楽しむ釣りです。
イカは光に集まる習性があるため、船には強力な集魚灯(ライト)を設置してあり、その灯りに引き寄せられたイカを狙います。
光の下に群れが入れば、数釣りも夢ではありません。
イカメタルの時期と対象魚


イカメタルは一年を通して楽しめる釣法ですが、釣れるイカの種類やシーズンは地域や時期によって異なります。
おもに狙えるのは「ケンサキイカ(マルイカ)」と「ヤリイカ」、「スルメイカ」で、以下のようにそれぞれに適した季節があります。
魚種 | 主な時期 | 特徴 |
ケンサキイカ(マルイカ) | 6月〜10月(夏〜秋) | 西〜南日本で人気。高水温を好む。夜釣り向き。 |
ヤリイカ | 11月〜3月(冬〜初春) | 日本海や東北、北海道沿岸で狙える。寒冷期に釣果安定。 |
スルメイカ | 6月〜8月(夏) | 中深場〜外洋向け。スッテの数を増やした釣りが主流。 |
地域別の傾向
- 日本海側(新潟〜山陰):ヤリイカ・ケンサキイカの好漁場。冬〜春はヤリイカ、夏はケンサキイカが中心
- 太平洋側(紀伊半島〜九州):ケンサキイカが夏に好調
- 北海道・東北北部:おもにヤリイカが冬に釣れる
- 沖縄・南西諸島:イカメタルの対象魚は少なく、地域差が大きい



また、同じ地域でも海水温や潮流などによって時期が変わる点に留意しておきましょう。
イカメタルの仕掛け・必要なタックル
イカメタル仕掛け図


イカメタルでは、鉛スッテと一緒にエギ(またはドロッパー2)を使う「ダブルスッテ仕掛け」が一般的です。
- 下:鉛スッテ(10〜25g程度)
- 上:エギ(1.8号〜2.5号程度)
また、イカメタルにはさまざまなアレンジ仕掛けが存在し、代表的なのは以下の3種類です。
- シンプル仕掛け:鉛スッテ1本のみの構成。もっともオーソドックスで、アタリが取りやすい
- ドロッパー仕掛け(ダブルスッテ):鉛スッテの上に、枝ハリスでエギや浮きスッテを装着。上下異なるアクションで誘える
- 中オモリ仕掛け:鉛スッテとは別に中間にオモリを入れた構成。深場や潮流の早いエリアに強く、上級者に人気



状況に応じた釣り方で、イカの活性や水深、潮の状況に合わせて戦略的な釣りが可能となります。
ロッド


イカメタルのロッドは、ティップ(穂先)でイカのわずかなアタリを察知するために作られた専用設計モデルがおすすめです。
選ぶ際は、以下のポイントを押さえておきましょう。
長さの目安
- 6.6ft〜7.6ft程度
- 船の上で扱いやすく、軽量の仕掛けを操作しやすい長さ
ティップの種類
- ソリッドティップ(カーボンソリッド):感度が非常に高く、微細なアタリを可視化しやすい
- チューブラーティップ:操作性重視。感度よりもシャクリ3やすさに優れる
パワー(硬さ)
- ML〜MHクラスが基準
- ドロッパーや中オモリ仕掛けを使うなら少し強めが扱いやすい
リール


イカメタルでは、ベイトリールかスピニングリールのどちらかを選びます。
軽量で巻き上げ力のあるリールなら、長時間の釣りでも疲れにくく効率よくアタリを捉えられるのでおすすめです。
ベイトリール
- 巻き取りが速く、フォール4中のアタリにも対応しやすい
- 船釣りでの操作性・手返しの良さが魅力
- ハンドル位置を確認し、利き手に合わせて「右巻き」か「左巻き」を選ぶ
- 小型~中型のカウンター付きモデルが便利
スピニングリール
- 軽量・高感度で、直感的に操作しやすい
- ライン放出がスムーズで、ライト仕掛け向き
- ドロッパー仕掛けや浅場の攻略におすすめ
- サイズは2500〜3000番クラス
スッテ


イカメタルで使用するスッテは、まず重さに注意が必要です。
釣船ごとに重さが指定されているので、事前に釣船の案内やHPを確認して守るようにしましょう。
10〜20号(40〜80g)が一般的です。
また、指定号数に加えてやや重めのスッテを用意しておくと、オマツリ防止に役立ちます。
カラーは赤白と赤緑が定番。
浅場ならアピール系の赤緑、深場では赤白が適しています。
活性を探る際は、ドロッパーに赤緑、スッテに赤白を組み合わせたパターンも有効です。



潮色や時間帯によってアタリやすいカラーが変わるので、複数の色を用意しておくとさまざまな状況に対応できます。
ドロッパー


イカメタルでは、鉛スッテの上に「ドロッパー」装着します。
ドロッパーとは浮力のある疑似餌で、専用タイプにくわえてエギ、浮スッテも使用可能です。
サイズは、釣れるイカの大きさに合わせるのが基本。
大型が釣れるなら2.5号のエギや4号の浮スッテ、小型中心の場合は2号以下や70mm前後の小型ドロッパーがおすすめです。



基本的に、活性が高いときは大きめ、低いときは小さめと覚えておきましょう。
ラインシステム


イカメタルでは、メインラインにPEラインを巻くのが一般的です。
水深20〜50m前後を探るシーンが多いため、沈降速度とアタリの伝達性能に優れたPEラインが適しています。
リーダーは、フロロカーボンライン一択で問題ありません。
メインライン(PE)
- 0.4号〜0.8号がスタンダード
- 細いほど感度と沈下速度が良くなるが、風や潮流の影響を受けやすくなるため、状況に応じて使い分ける
リーダー(フロロカーボン)
- 長さ:約1.5〜2m
- 強度:8〜12lb前後
【釣り方の基本】イカメタルの誘い・アタリ・アワセ


イカメタルは、ただ仕掛けを沈めて待つだけでは釣果につながりません。



以下では、イカメタルの基本的な操作手順とアタリの見極め方について、初心者にもわかりやすく解説します。
誘いの手順
- 魚探や船長のアナウンスをもとに「タナ(イカがいる水深)」を把握
- 仕掛けをその層まで一気に沈める
- ロッドを大きくシャクリ上げて誘いを入れる
- テンションをかけたまま、ゆっくりフォールさせる
アタリの種類とアワセ方


上記の操作のあとはティップ(穂先)の変化に集中し、アタリを見逃さないようにしましょう。
イカメタルのアタリには、大きく分けて以下の2パターンがあります。
- 入るアタリ:ティップがグッと沈み込む
- 戻るアタリ:テンションをかけている状態で、ティップがフワッと戻る(軽くなる)
どちらも一瞬のタイミングを逃さず、即アワセするようにしましょう。
イカメタルの釣果を左右するのは、いかに「違和感」を察知して即座に反応できるかです。
アタリは非常に小さく、ティップがわずかしか変化しないケースもあります。
イカメタル最大の魅力は、この「掛けにいく楽しさ」にあるので、集中力と反復練習を積み重ねてわずかな気配を感じ取れるようにしましょう。
また、イカの活性が高いと、鉛スッテとドロッパーの両方に2杯同時に掛かるダブルヒットも珍しくありません。



そんな状況では、テンポよく釣り続ける「手返しの良さ」も釣果に直結しますよ。
イカメタル・エギング・ティップランの違いとは?


イカ釣りは、イカメタル・エギング・ティップラン5と、さまざまなスタイルで狙える多様性も魅力のひとつです。
一見どれも「イカをエギで釣る釣り方」では同じですが、狙う時間帯や対象となるイカの種類、釣り場・仕掛け・誘い方など、多くの点で違いがあります。
以下の表にそれぞれの違う点をまとめたので、参考にしてみてください。
比較項目 | イカメタル | エギング | ティップラン |
おもな時間帯 | 夜 | 日中・夜明け・夕方 | 日中 |
おもな釣り場 | 船(沖) | 陸(堤防・磯) | 船(沖) |
おもなターゲット | ケンサキイカ・ヤリイカ | アオリイカ・コウイカ | アオリイカ |
使用するルアー | 鉛スッテ+ドロッパー(小型エギ) | エギ(2.5〜4号) | ティップラン専用エギ(重め) |
誘い方 | 縦のシャクリとステイ | キャストしてシャクる・フォール | 潮に乗せたドテラ流し+軽いシャクリ |
タックル構成 | ベイト・スピニング両対応/多点仕掛け | スピニング/シンプルな単体仕掛け | スピニング/高感度ロッド+重エギ |
特徴 | アタリをとって掛けるゲーム性/数釣り向き | 陸から狙える手軽さ/足で探る釣り | 船の流れを活かした効率的な深場攻略 |
イカメタルに関するよくある質問


- エギングとどう違うの?
-
エギングは岸からエギを使う釣りが主流で、イカメタルは船上からスッテで中層〜底を狙うのが特徴です。道具と釣り方が根本的に異なります。
- どんな時期にイカメタルを楽しめる?
-
ケンサキイカは夏〜初秋、ヤリイカは冬〜春が主なシーズンですが、地域によって最盛期が異なります。
- スッテの号数はどう選ぶ?
-
水深と潮流によって変わりますが、10〜20号(40〜80g)が一般的です。潮が速いほど重くします。
- スッテの色はどう選ぶといい?
-
夜光、赤白、グリーンなどが定番です。光量や水深、イカの活性に応じてローテーションしましょう。
- オマツリを防ぐには?
-
周囲との号数統一、潮下への投入、仕掛けの長さ調整で防げます。初心者はとくに注意が必要です。
- イカメタルは昼間でもできる?
-
日中も可能ですが、集魚灯を使えないため難易度は高めです。夜釣りの方が釣果は安定します。
まとめ|イカメタルはシーズンを選べば初心者にもおすすめ!


イカメタルは、繊細なアタリを感じて掛ける、奥深くてゲーム性の高い釣り。
季節や地域ごとに狙えるイカの種類が異なり、年間を通して楽しめるのも魅力です。
シンプルな仕掛けで始められるうえ、タックルも専用モデルが充実しているため、初心者から上級者まで幅広く楽しめます。



イカ釣りの幅を広げるためにも、ぜひイカメタルにチャレンジしてみてくださいね!
脚注