春は一年で最も大型のアオリイカが狙える絶好のシーズンです。
秋の数釣りとは異なり、重量感ある1kg〜3kg超えの個体が釣れますが、そのぶん難しい釣りになるケースも少なくありません。
そこで威力を発揮するのが「スラック釣法」です。
今回は、春のエギングに適したスラック釣法や有望なポイント選び、必要なタックル構成まで解説します。

初心者にもわかりやすく解説するので、ぜひ参考にしてみてくださいね!
春エギングはなぜ「スラック釣法」が効果的?


春はアオリイカが産卵のために接岸するシーズンで、1kg〜3kg超の大型個体を狙えるのが最大の魅力です。
前年の夏に孵化したアオリイカが冬を越え、栄養を蓄えて成長した結果、春には強い引き味を楽しめる個体になります。
秋のように数釣りができるシーズンとは異なり、春は「一杯をいかに確実に仕留めるか」がテーマです。
また、春のアオリイカは警戒心が非常に強く、エギの動きに対して敏感に反応します。
そのため、エギを速くシャクるアクティブな誘いよりも、スラックを活かしたゆっくり沈める静の釣りが効果的です。
さらに、大型個体は岸に寄りすぎず、一定の水深や変化のある地形(ブレイク1、岩礁帯など)に定位する傾向があるため、ポイント選びとアプローチの正確さも求められます。



春のエギングは、秋の手軽さとは異なる「技術と観察力」が試される奥深さがあるんですね。
スラック釣法とは?アオリイカを自然に誘うテクニック


スラック釣法とは、エギをシャクった後にラインを張らず、糸フケ(たるみ)を活かしてエギを自然に沈める誘い方です。
ナチュラルなフォール2により、警戒心の強い春のアオリイカにも違和感なく抱かせることができます。
一般的なエギングでは、エギにテンションをかけて動かすためアタリが伝わりやすい一方で、アオリイカに違和感を与えてしまうことがあります。
スラック釣法はその逆で「動きすぎない」ことを利用した戦略です。
シャクリでスラックを生み出す
エギにシャクリ3を入れた後、ラインを張らずにたるませることでスラックが発生します。
エギはスーッと自然に沈んでいきますが、このときがもっともアオリイカにとって抱きやすいタイミングです。
テンションフリーの状態で、まるで小魚が無防備に沈下していくような自然な挙動を見せます。
アオリイカはこの無警戒な動きに反応しやすく、抱きつく確率が高くなるのです。
ロッドをやや鋭く縦に2〜3回シャクったあと、すぐにロッドを倒してラインを張らずにテンションを抜きましょう。
ラインが水面にふわっと浮くような状態をキープしながら、エギが自然に落ちていく間を「見せる時間」として使うのがコツです。



沈下中の姿勢とスピードこそが、春のスレた大型アオリに効く誘い
なのです!


ポケット(障害物周辺)を重点的に狙う


沈み根や岩場の隙間、堤防の際など「一見釣れなさそう」な場所が、実は春の大型アオリイカが潜む絶好のポイントです。
そうした場所は外敵から身を隠しやすく、産卵のための藻場にも近い傾向があるため、絶好の待ち伏せポイントとなっています。
根がかりのリスクもありますが、ラインをたるませてゆっくり沈めせれば、障害物の奥まで探ることも可能です。
根の上や段差の陰にエギを滑り込ませるようなイメージでアプローチしましょう。
スラック釣法におけるアタリの取り方


スラック釣法の最大の課題は、アタリの察知です。
ラインを張っていないため、手元にはアタリが伝わりにくく、視覚でラインの変化を読むことが重要になります。
例えば、ラインが急に沈み込んだり、スーッと走ったりするのがアタリのサインです。
アオリイカがエギを引き込むときの微妙な違和感を見逃さず、即座にフッキングできるかが釣果を左右します。
PEラインのカラーリングを活かして、海面とラインの角度やテンションの変化を細かく見ることも有効です
アタリを感じたらすかさずくロッドを立てて、しっかりフッキングを決めましょう。
春のアオリイカが集まりやすいポイントとは?


春のアオリイカは、以下のような場所を狙いましょう。
では、それぞれ解説します。
墨跡が残っている場所は狙い目


堤防や岸壁などにアオリイカの「墨跡」が残っている場所は、過去に釣果があった証拠です。
足元のコンクリートに墨が残っていれば、そこは有望なスポットと考えていいでしょう。
とくに、比較的新しい墨跡が複数残っている場所は、他の釣り人が釣った可能性が高く見逃せません。
潮目や人工構造物も注目
潮目にはプランクトンや小魚が集まりやすく、アオリイカもそれを狙って集まってきます。
水面の色が違う、波の立ち方が変わっている場所が潮目です。
また、イケスやスロープといった人工構造物も、アオリイカが身を隠すのに適しています。



堤防の角、船着き場、漁港内の出っ張りなども忘れずチェックしましょう。
春のエギングに適したタックル構成


春のエギングでは警戒心の強い大型のアオリイカを相手にするため、繊細な操作性と確かなパワーの両立が求められます。
とくにスラック釣法を駆使する場合、エギの挙動を細かくコントロールできるタックル選びが重要です。
ロッドはやや長め・柔軟性も重視


春エギングの大型狙いでは、8.6フィート以上でML(ミディアムライト)クラスの張りがあるエギングロッドがおすすめです。
少し長めにすることで、足元の駆け上がりやブレイクラインでエギが浮きにくくなり、スラックを使った縦の釣りも扱いやすくなります。
適度なしなりと操作性のバランスに優れたモデルを選びましょう。
リール・ライン


リールはエギング定番の2500番か、パワーを重視するなら3000番のスピニングリールが適しています。
スラック釣法のテンション管理しやすい、ダブルハンドルタイプがおすすめです。
ダブルハンドルは手を放してもハンドルが回らず、スラックを巻き取ってしまうトラブルを防げます。
軽さを重視するなら、シングルハンドルでも構いません。
PEライン0.6号にフロロカーボン2.5号のリーダーを組み合わせると良いでしょう。
根掛かりでエギのロスをなるべく防ぎたいなら、PE0.8号をチョイスしてください。
エギ


エギは、シャロータイプの3.5号をチョイス。
沈下速度を抑えてイカに見せる間を長く取ることができるため、警戒心の強い春イカに対して有効です。
スラック釣法に関するよくある質問


- スラックジャークを使うべき「海況・水の状態」はどんなときですか?
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活性が低く、イカが積極的に追わないような状況でスラックジャークは特に効果を発揮します。
たとえば、水が澄んでいて光が強い昼間、海底付近に藻や沈み根が多くイカが隠れる構造がある場所、あるいはシャローエリアで風が弱く波が穏やかなときなどです。
逆に水が濁っていたり、強風で海面が荒れていたりすると、スラックでの繊細な動きが伝わりにくくなります。
- スラックジャークを多用すると根掛かりが多くなるのですか?
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スラックジャークはエギをゆるく動かすため、エギが沈む時間が長くなることがあるため、藻や岩礁などに触れる機会が増えることは確かです。
根掛かりを防ぐには、まずエギを着底させた後もロッドをあまり大きく振らず、エギを移動させないようにシャクリ・フォールを繰り返しましょう。
ラインにスラックを残しつつ、常にエギの重さを手に感じられるように操作するのがコツです。
- どのくらいスラックを出す(糸ふけを許す)かの目安はありますか?
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糸ふけの目安は、エギの重さ、ロッドの長さ・柔らかさ、水深・潮流の強さなどによって変わります。
一般的には、シャクリ直後にラインを巻き取らずスラックを残す量を明確に意図して、フォール時にエギが自然にゆっくり落ちるようにスラックを調整します。
なお、スラックをあまり出しすぎると操作感が鈍くなり、エギの落下角度が不安定になることがあります。
逆に少なすぎると、スラックジャーク独特の静かな誘いが失われるので注意が必要です。
- スラックジャークを練習するときのコツはありますか?
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まず、自分のロッド・リール・ラインでどれくらいスラックが出るかを感覚で掴むことが重要です。
エギを底まで落とし、そこからスラックを出したままゆっくりシャクリ、フォールを繰り返す動作を何度も試して「エギの重み」「ラインのテンション」「フォール中にアタリが出る感覚」を意識してみてください。
また、曇りの日や風の弱い時間帯を選ぶと、スラックの変化やエギの動きが見えやすく練習にぴったりです。
まとめ|大型アオリイカをスラック釣法で攻略しよう
春のエギングは、数よりも質。
重量感のあるアオリイカを、いかにして違和感なく抱かせるかが勝負になります。
スラック釣法を活用し、目でアタリをとる繊細なアプローチを身につければ、大型との出会いも夢ではありません。



丁寧な探りと確かなタックル選びで、春のモンスターアオリイカをぜひ狙ってみてくださいね!
脚注