エギングで欠かせない、エギを沈めるテクニック「フォール」。
ラインテンションのコントロールや、風・潮流への対応、根掛かり対策なども釣果に直結する大切な要素です。
大きくわけて「フリーフォール」「テンションフォール」「カーブフォール」の3種類があるので、それぞれの操作方法を押さえておきましょう。
本記事では、フォールの種類ごとに特徴やメリット・デメリット、アタリの取り方を解説します。

フォールさせる際の注意点も紹介するので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
フリーフォール


フリーフォールとは、キャストしたエギが着水したあと、リールのベールを戻さずにラインを出し続け、エギをラインのテンションをかけずに真下へ沈める方法です。
テンションをかけないことで、エギは自然で安定した姿勢を保ち、イカに違和感を与えないようにアピールできます。
とくに、日中や無風のように水中がクリアで、イカに警戒心が芽生えやすい状況で効果的です。
また、潮が自分の立ち位置に向かって流れる「当て潮」のときにも、エギを流れに逆らわず自然に沈められるという利点があります。
メリット
水深の把握がしやすいのがフリーフォールのメリットです。
潮の流れが極端に速くない限り、エギの沈下速度はパッケージに記載されている数値とほぼ同じになりやすく、カウントダウンによって着底までの時間を測れば、おおよその水深を把握できます。
また、ラインを緩めてエギを真下に沈めることで、エギが手前に寄りにくくなり、その場をじっくりと探れるのも大きな利点です。
シャクリ→フォールという動作の回数も増やせるため、アオリイカを誘って抱かせるチャンスを増やせます。
さらに、風が強い日や海が荒れている状況下でも安定した動きが出せるのもメリットのひとつです。



ラインにテンションをかけないぶん、エギが自然な姿勢を保ちやすく、イカに違和感を与えずにアピールできますよ。
デメリット
フリーフォールには注意点もあります。
とくに意識しておきたいのが、アタリの取りづらさです。
フリーフォール中はラインにテンションがかかっておらず、エギが着底したタイミングや、アオリイカがエギに触れた瞬間の感触が竿先まで伝わりにくくなってしまいます。
アタリを察知するには、ラインの動きに集中して視覚的に判断する必要があるのです。
たとえば、ラインが不自然に止まったり、わずかに震えるような動きを見せたときは、イカが抱いている可能性があるため集中しましょう。
また、潮流の向きによってはエギの姿勢が崩れやすくなることも。
シャクリ上げた直後に潮の流れに押され、エギの頭が沖向きに回ってしまうと、次のシャクリ動作で針がラインに絡む「エギ絡み」が起こりやすくなります。
こうしたトラブルを防ぐには、ラインを送り込む際に「まっすぐ落ち着かせる」意識が重要です。
シャクリ後にラインを真下へ落とすようにし、エギにわずかなラインの抵抗が残るようコントロールしましょう。
潮に流されにくくなり、エギの姿勢を安定させやすくなります。
アタリの取り方


フリーフォールでもっとも重要なのが、アタリを「目で見る」意識を持つことです。
テンションをかけないぶん、手元には感触が伝わりにくいため、ラインの動きでアタリを判断する必要があります。
エギがフォールしている最中、海中にラインがスーッと入っていく様子に注視しましょう。
以下のような変化があれば、アオリイカがエギに触れたサインかもしれません。
- ラインのスピードが不自然に遅くなった
- 着底には早すぎるタイミングでラインがピタッと止まった
少しでも違和感を覚えたら、迷わずアワセましょう。
よほどイカの活性が低い状況でない限り、エギを抱いたイカはしばらくその姿勢を保ちます。
アタリに気づけなくても、次のシャクリ動作そのものが自動的なアワセの役割を果たす場合も多いです。
ただし、ここで注意したいのがドラグの設定です。
エギを抱いていたイカがこのシャクリで針に掛かった際、ドラグが固すぎると「身切れ」を起こしてバラしてしまうことがあります。
フリーフォール時は、やや緩めにドラグを設定しておきましょう。
なお、ラインスラック(糸ふけ)を活かした「スラック釣法」については、以下の記事で紹介しています。


テンションフォール


テンションフォールは、ラインを適度に張りながらエギを沈めていくテクニックです。
フリーフォールとカーブフォールの中間に位置する方法になります。
メインで使う釣り方ではないものの、風や潮の状況次第では威力を発揮するため、覚えておきたいフォールメソッドのひとつです。
シャクリのあとにリールを1〜2回ほど巻き、ラインが張りすぎず、ゆるみすぎない絶妙なテンションを保ったままエギを沈めていきます。
リールの巻きすぎでラインが張りすぎた場合は、一度ベールを返して緩め直すのがコツです。
ロッドを軽く立てたり、ゆっくりとリールを巻いたりすることで、エギの沈下速度を抑えつつコントロールできます。
とくに、効果を発揮するのは、以下のようなシチュエーションです。
- 当て潮でフリーフォールで感度が不足していると感じたとき
- 表層〜中層をじっくり探りたいとき
- 強風でラインコントロールが難しいとき
上記のような状況では、テンションフォールによってエギの姿勢を安定させ、アオリイカに違和感を与えにくい自然なフォールアクションが有効です。
メリット
テンションフォールはラインを張ってエギを沈めるので、手元に伝わる情報量が格段に増えるのがメリットです。
ラインがピンと張られているので、アオリイカがエギに触れたときや、エギが着底した瞬間の感覚が竿先や手元にしっかりと伝わります。
アタリを明確に感じ取りたい状況では、大きなアドバンテージです。
さらに、エギは前方へ進みながら沈下していくため、着底のたびにじっくり探る必要がなく、ポイントをテンポよく探れます。
キャストから回収までがスピーディーであり、移動を繰り返す「ランガンスタイル」と相性が良いといえるでしょう。
また、テンションをかけているぶん、エギの沈下スピードが緩やかになるため、渋い状況でもアオリイカにアピールしやすいというメリットもあります。



落ちる速度がゆっくりであることは、見せる時間を稼ぐことにもつながり、抱かせる確率を高められます。
デメリット
状況によっては、エギの動きが不安定になりやすいデメリットもあります。
ラインを張った状態でエギを沈めていくため、アングラーの手元の動きや風・波の影響がダイレクトにエギへ伝わってしまうのです。
とくに、風が強い日やウネリがある状況ではエギの頭が振れやすく、自然な姿勢を保つのが難しくなります。
その結果、イカに違和感を与えてしまい、抱きつかせにくくなる場合があるわけです。
たとえば、テンションフォールに入る際、余分なラインのフケを勢いよくリールで巻き取ると、エギに急な動きが伝わってしまう可能性があります。
そのような場合、ロッドを軽くチョンと煽ってテンションを張ってみましょう。
また、やさしくリールを巻いて徐々にテンションをかけていくと、エギの沈下をより安定させることができます。
アタリの取り方


手元に「コツッ」という小さな反応や、竿先がわずかに震えるような動きがあれば、アタリの可能性が高いです。
違和感を覚えた瞬間に、迷わずアワセを入れましょう。
アオリイカは、エギを抱いてもすぐに離すことがあるため、ためらわず即アワセが基本です。
テンションフォール中は集中して、わずかな変化も見逃さないようにしましょう。
アタリの取り方については、以下の記事も参考にしてみてください。


カーブフォール


カーブフォールは、エギをできるだけ水平に保ちながら沈めていくことで、アオリイカに長く見せる時間を作れるフォールテクニックです。
キャスト後に糸ふけ(余分なライン)をすばやく巻き取り、ラインに常にテンションをかけたままエギを沈めていきます。
竿先を起点に、エギがゆるやかな弧を描きながら沈んでいき、フォールしながら徐々に手前に寄ってくるイメージです。
エギの水平姿勢と長めのフォール時間をキープできるため、アオリイカが警戒している状況や、食いが渋いときにもじっくりアピールできます。



とくに、サーフやゴロタ場といった水深が浅く変化の少ないシャローエリアでは、カーブフォールの安定した動きが効果的です。
メリット
カーブフォールは、アオリイカにエギを長く見せて、食わせるチャンスを引き出しやすい点がメリットです。
ラインを張ってエギをフォールさせることで、エギの姿勢を水平に保ちやすく、沈下速度を抑えながら自然な動きでアピールできます。
とくに、フリーフォールやテンションフォールでは出しづらい、水平姿勢を維持しやすいのがカーブフォールの強みです。
また、ラインを常に張っている状態なので、アオリイカがエギに触れたときの反応が竿先や手元にダイレクトに伝わりやすく、アタリを感じやすいという利点もあります。
デメリット
カーブフォールは、状況によって使いにくいシチュエーションがあります。
エギが手前に寄りながら沈むため、深場ではシャクリ回数が減ってしまうのがデメリットです。
フォールスピード自体も比較的遅いため、効率的に攻めたい深場では不向きといえるでしょう。
さらに、常にラインを張っているため、1回のキャストでエギが自分のほうへ戻ってくる時間が短くなり、じっくりポイントを探る釣り方には不向きです。
また、エギが水平に移動するため、根の多いエリアでは根がかりのリスクが高い点にも注意しましょう。
ラインテンションが強すぎたり弱すぎたりすると、エギの姿勢が不安定になり、不自然な動きとなってイカに違和感を与える可能性もあります。
とくに、ナイトエギングではライントラブルを招きやすいため、まずはテンションフォールをマスターしてから挑戦するのが良いでしょう。
アタリの取り方


カーブフォールではラインが常に張られており、アタリを察知したらためらわず、すぐにアワセを入れるのが基本です。
フリーフォールではラインの変化を目で捉える必要がありますが、カーブフォールは竿先や手元にダイレクトに反応が伝わってきます。
実際に釣ってみると、コンコンとドアをノックするような感覚や、イカパンチのように叩かれる反応、モゾモゾとした違和感など、さまざまな種類のアタリを感じるでしょう。
ただし、常にエギにテンションが掛かっているため、イカが違和感を覚えやすく、すぐに離してしまう傾向があります。
乗らなかった場合でも、やる気のあるイカであれば次のフォールで再びアタックしてくる可能性があるので、「おかしいな?」と感じた次のシャクリ後は、全神経を集中してアタリを取りましょう。
エギをフォールさせる際の注意点


ラインテンションに注意
フォール中は、ラインテンションの張り過ぎ・緩めすぎに注意しましょう。
ラインを張りすぎるとエギの姿勢が乱れやすく、イカに警戒されてしまい、せっかく抱きついても違和感を覚えてすぐに離してしまいます。
逆にラインを緩めすぎると、アタリが分かりにくくなるだけでなく、潮に流されて狙ったポイントを外したり、根掛かりのリスクが高まったりするので注意が必要です。
着底を見極める
エギングでは、エギが着底したかどうかを把握することが重要です。
着底に気づかないとエギが根掛かりしやすくなるだけでなく、狙いたいレンジを外してしまいます。
以下のような、着底を見極めるサインを見逃さないようにしましょう。
- ラインがフワッと緩む
- ラインの動きが止まる
- ロッドにわずかな重みを感じる
わずかな変化を見逃さないよう、フォール中は常にラインの動きを注視してください。
エギの底取りについては、以下の記事でも紹介しています。


エギのフォールスピードに注意
エギングでは、フォールスピードの適切なコントロールが釣果を左右する場合があります。
スピードが合っていないと、アオリイカに見切られたり、反応されなかったりするので注意しましょう。
たとえば、フォールが速すぎるデメリットは以下のとおりです。
- アオリイカが追いつけず、エギを見逃してしまう
- 不自然な速さで違和感を与えてしまう
- 浅場では不利になる場合がある
一方、フォールが遅すぎると、以下のような状況が発生しやすくなります。
- アオリイカが抱きつく前に、エギを見切ってしまう
- 強い潮流では流されて、狙ったポイントを外してしまう
- 雑魚が先にエギへちょっかいを出してしまう
つまり、フォールスピードは「速すぎても遅すぎてもダメ」であり、当日のアオリイカの活性や潮の強さに応じて、エギの重さや形状を選択することが重要です。
フォール中はアタリに集中
エギングにおいて、フォール中のアタリを見逃すことは致命的です。
せっかくアオリイカがエギを抱いても、気づけなければフッキングできずにチャンスを逃してしまいます。
とくに、フリーフォールではアタリを目で確認するほかなく、細心の注意が必要です。
よくあるフォール中のアタリのパターンは次のとおりです。
- 動いていたラインが急に止まる
- ラインがわずかに動いたり、横に走ったりする
- ロッドに違和感が伝わる
変化を察知したら、迷わず軽くアワセを入れましょう。
タイミングが遅れると、アオリイカが違和感を覚えてすぐにエギを離してしまいます。
なお、ナイトエギングでは、ラインの変化を目視するのが難しいため、ヘッドライトの光をラインに当てて動きを確認する方法も有効です。
視覚と感覚の両方を駆使して、アタリを取る意識を持ちましょう。
エギングのアタリの取り方については、以下の記事でも詳しく紹介しています。


風や潮の流れに合わせる
エギングでは、風や潮の影響を強く受けるとフォールの精度が落ちやすいため、状況に合わせた工夫が欠かせません。
とくに、横風が吹く日はラインが風に押されて大きく流され、エギの姿勢が不自然になってしまう場合があります。
風対策としては、3.5号以上の重めのエギに替えて安定性を確保したり、ラインを意識的に水中へ沈めて風の影響を抑えたりするのが有効です。
また、ラインに張りを持たせてコントロールできるテンションフォールを多用すると、エギの軌道を整えやすくなります。
潮の流れが速いときも、やはりエギを重くして狙った層に届かせましょう。
ディープタイプのエギを選ぶのも有効です。
さらに、フォールの角度を調整し、潮の流れにうまく乗せるように沈めると自然な姿勢を保ちやすくなります。



潮止まり前後のように流れが弱まるタイミングを狙えば、アプローチの精度を高めることも可能です。
根掛かりに注意
磯場や海藻の多いエリアでは、フォール中に根掛かりするリスクが高まります。
エギをロストすればコストがかさむだけでなく、残されたエギがポイントを荒らす原因にもなるので注意しましょう。
根掛かりが起こりやすい場所では、テンションフォールを取り入れてラインをコントロールし、エギの姿勢を安定させることが効果的です。
着底を確認したら、エギをそのまま放置せずにすぐ軽くシャクリを入れることで、根掛かりを回避しやすくなります。
また、スナップ部分にフロートリグを装着すれば、エギを少し浮かせながら操作する方法も有効です。
まとめ|フォールの基本を押さえておこう
エギングでは、以下のフォールを状況に応じて使い分けることが大切です。
- 自然な姿勢でじっくり誘える「フリーフォール」
- 感度が高くテンポよく探れる「テンションフォール」
- 水平姿勢で見せる時間を稼げる「カーブフォール」
それぞれにメリット・デメリットがあるため、しっかり基本を押さえてから実践してみましょう。



釣果に直結するテクニックなので、ぜひマスターしてくださいね。