秋はアオリイカが浅場に接岸し、エギング初心者にとって最適な入門シーズン。
春から夏にかけて生まれたイカが200g前後に成長し、警戒心もまだ薄いため、数釣りが楽しめる絶好のチャンスです。
本記事では、秋のエギングにフォーカスして必要なタックルや釣れるポイント、エギの操作方法など、初心者にもわかりやすく解説します。

エギングデビューしたい方はぜひ参考にしてみてください。
秋エギングは初心者でも釣果が出やすい


秋は水温が安定し、アオリイカの活性が高まるシーズン。
9月〜10月にかけては、春に生まれた個体が釣りごろサイズに育ち、堤防や地磯1などのシャロー2に差してくるため、手軽な装備でも十分に狙えます。
とくに100〜200g前後の「コロッケサイズ」がメインターゲットとなりますが、日やタイミングによっては500gを超える中型が釣れることも。
成長期のアオリイカが食欲が旺盛で、釣果の数も年間でもっとも期待できるため、「まずは一杯釣ってみたい」というビギナーにおすすめの季節です。
また、秋のアオリイカは甘味があり、食べるのも楽しみのひとつ。
ただし、たくさん釣れるからといって、必要以上に持ち帰るのは控えましょう。
秋エギング釣り場別の特徴とおすすめポイント
秋のアオリイカは岸からでも狙える場所に多く集まります。
以下のような釣り場が特におすすめです。
堤防・波止は初心者に最適なエギングポイント


堤防や波止は足場が安定していて滑りにくく、釣り初心者でも安心して釣行できるのが大きな魅力です。
とくに安全面を重視する場合や、家族連れ・女性の釣り人にもおすすめの場所といえるでしょう。
堤防にはテトラポッドや敷石、消波ブロックが隣接していることが多く、これらの周辺はアオリイカの格好の隠れ家となります。
潮通しのよい先端部や、潮目3の出るポイントでは、回遊してくるイカとの遭遇率も高く、釣果につながりやすいのも特徴です。
ただし、堤防はエギングに限らず多くの釣り人が利用する人気スポットのため、場所取りや周囲への配慮も忘れないようにしましょう。



混雑時は少し離れた場所や消波ブロックの裏側など、他の釣り人が狙っていない位置を探してみるのもの戦略のひとつです。
地磯は潮通しが良く、大型アオリイカも狙える好ポイント


地磯は、潮通しの良さが特徴的なフィールドで、アオリイカにとってもエサが豊富なエリアです。
シャロー(浅場)とディープ(深場)の境目が明確な場所が多く、エギングにおいてはこうした変化のある地形が有効に働きます。
また、堤防と比べて釣り人のプレッシャーも少ないため、スレていない個体に出会えるチャンスが高いのも魅力です。
運が良ければ、500g〜1kgクラスの中〜大型アオリイカが回遊してくることもあり、秋でもサイズアップを狙える場所といえるでしょう。
ただし、磯場は滑りやすく、波の影響を受けやすいため、安全対策は必須です。



移動の際はスパイクブーツや滑り止め付きのウェーダーを着用し、落水や転倒に十分注意しましょう。
シャローエリアは秋イカの数釣りに最適なフィールド


秋のアオリイカは水温の安定したシャローエリア(浅場)に集まりやすく、とくに朝夕の時間帯には接岸して活発にエサを追いかける姿が見られます。
こうした浅い場所では小型〜中型の個体が中心となるため、数釣りを楽しみたい釣り人には最適なロケーションです。
シャローといっても完全なフラット地形ではなく、岸から沖にかけて徐々に深くなるような傾斜がある場所が理想的です。
ただし、水深が浅いぶん、エギのアクションや着水音に対してイカが敏感になります。



静かにアプローチし、ナチュラルな動きで誘うのが釣果アップのポイントです。


秋エギングで釣果を伸ばすためのコツと注意点
反応がなければすぐにポイント移動する
秋のアオリイカは小規模な群れで移動していることが多く、同じ場所にとどまる時間が短いため、一カ所での粘りすぎは禁物です。
一定時間シャクリ4やフォール5に反応がなければ、すぐに次のポイントへ移動する「ランガンスタイル」が釣果を伸ばすカギになります。
ひとつのポイントを探る回数を決めるなどし、テンポよく釣っていくのがコツです。
なお、ランガンスタイルではタックルやエギケースはショルダーバッグなどにまとめ、両手を空けておきましょう。



地磯や堤防の釣行でもすばやく行動できるよう、機動性の高い装備を心がけましょう。
朝マズメ・夕マズメを狙う


光量が少なくなる朝夕の時間帯は、イカの警戒心が薄れるタイミングです。
こうした時間帯はエギに対する反応がよく、抱きついてくる確率も高くなります。
とくに、潮の動きと重なるタイミングでは連発も期待できます。
偏光グラスで水中を視認しやすくする


秋のエギングはアオリイカの岸近くに寄ってくるため、エギを追ってくる様子を確認しながら釣る「サイトフィッシング」を楽しめます。
サイトフィッシングで必須なのが「偏光グラス」。
水面やガラス、雪面などの反射光(ギラつき)をカットする特殊なサングラスで、晴天時やクリアな水質のエリアでは、偏光グラスを活用すると水中の状況がよく見えるようになります。
通常のサングラスと異なり、光の「偏光(へんこう)」を利用して、特定の方向から来る光を遮断することで、視界をクリアに保つ効果があります。



エギの位置やイカの追尾など、視覚情報を活かした戦略が立てやすくなるのでおすすめです。
立ち位置に注意
日中のサイトフィッシングでは、水際に立って海中をのぞき込まないようにしましょう。
活性の高い秋のアオリイカとはいえ、本来警戒心が強いので人影に驚いて反応が悪くなる恐れがあります。
太陽の位置から自分の影が水面に映つらないように注意し、静かに釣りをはじめるのが釣果アップのコツです。
群れを直撃しない
秋はアオリイカの群れが岸に寄ってきて目視しやすいですが、群れの真ん中にエギをキャストすると群れが散ってしまいます。
群れの奥や斜め横など、群れの真ん中を避けてキャストし、群れに少しずつ近づけるように操作しましょう。
また、大きな着水音を出さないように静かにキャストするのもコツです。
秋エギングに適したタックル構成・エギの選び方
秋は軽めのエギを扱うシーズンですので、繊細な操作性と感度を重視したタックル選びが重要です。
ロッドの選び方|秋エギングに適した長さと硬さとは


秋のエギングには、8.3フィートから8.6フィート程度のエギングロッドが扱いやすくおすすめです。
軽量なエギでも十分な飛距離を出せるうえ、キャストやシャクリの際の手首への負担も少なく、長時間の釣行でも疲れにくいメリットがあります。
硬さはL(ライト)〜ML(ミディアムライト)クラスが理想的です。
軽めのエギをしなやかに操作でき、繊細なアタリも感じ取りやすくなるため、シャローに潜む小型〜中型のアオリイカを確実に狙えます。



とくに、秋はイカがエギに対してシビアな反応を見せる場面もあるため、ロッドの感度を重視して選びましょう。
リールの選び方|軽量エギに最適な番手と性能とは


秋のエギングに使用するリールは、2500番クラスのスピニングリールが最も扱いやすく、スタンダードな選択肢です。
ロッドとのバランスも良く、軽量なエギでも無理なくキャストできます。
また、ドラグ性能にも注目しましょう。
アオリイカは一気に引き込むような動きを見せることがあり、ドラグ6がうまく効かないとバレる原因になります。
スムーズにラインが出て、細いPEライン7でも切れにくいリールを選べば、ファイト中のラインブレイクを防げます。



また、リールの巻き取り力や操作性も釣りの快適さに直結するため、軽量で滑らかな回転性能を持つモデルが長時間の釣行でも疲れにくくおすすめです。
ラインとリーダーの選び方|感度・飛距離・根ズレ対策のバランスが重要


秋エギングでは、メインラインにPEラインの0.6号を使用するのが一般的です。
PEラインは非常に細くて軽いため、軽量なエギでもしっかりと飛距離を出せます。
また、伸びが少ない特性からアオリイカのわずかなアタリも手元にしっかりと伝わるのもメリットです。
ただし、PEラインは摩擦や障害物に弱いため、リーダー8との組み合わせが不可欠です。
リーダーには耐摩耗性に優れたフロロカーボンの1.5号〜2号を使用し、長さは約1ヒロ(およそ1.5〜1.8m)を基準とします。



フロロカーボンは耐摩耗性に優れており、堤防の際や磯場での根ズレによるラインブレイクを防いでくれます。
エギの選び方|サイズ・タイプ・カラーのローテーションで釣果アップ


サイズ
秋のエギングでおもに使用するエギのサイズは、2.5号〜3号が標準です。
秋のアオリイカはまだ小型〜中型であり、あまり大きなエギを使うと抱かせにくくなります。
3号を基本とし、反応が悪ければ2.5号にサイズダウンするといった状況に応じた使い分けが効果的です。
沈下スピード
エギは製品によって「ノーマルタイプ」「シャロータイプ」「ディープタイプ」と、沈下スピードの異なるタイプがあります。
水深や潮の流れ、アオリイカの活性に合わせて、ローテーションしながら使用しましょう。
以下では、エギの専門メーカー「ヤマシタ」の「エギ王」シリーズを例にとって説明します。
秋エギングのローテーションパターン
まずは、飛距離やアクションのバランスに優れている3.0号ベーシックをチョイス。
アオリイカの追尾してきても抱かない、エギに触ってもすぐ下がってしまうようなら、同サイズで沈下スピードの遅いシャロータイプへチェンジ。
シャロータイプでも反応に変化がなければ、さらにフォール時間が長いスーパーシャローにチェンジ。
スーパーシャローでも反応しないなら、2.5号のベーシックにサイズダウン。
はじめから小さい2.5号ではなく、3.0号からはじめるのがコツです。
活性が高く良型のアオリイカをロングキャストで広範囲に探りましょう。
カラー
秋のエギングでは、カラー選びも釣果に大きく影響します。
日中の明るい時間帯には、水に馴染みやすいナチュラルカラー(ブラウン系・クリア系など)がおすすめで、スレたイカにも違和感を与えにくくなります。
逆に朝夕のマズメ時や濁りのある状況では、赤・オレンジ・ピンクといったアピール系カラーが視認性も高く効果的です。



状況に応じたサイズ・タイプ・カラーの組み合わせを的確に選ぶことが、秋エギングで安定した釣果を出すための重要なポイントになります。
時間帯・状況 | おすすめカラー | 特徴・理由 |
日中(晴天・クリアな水質) | ナチュラルカラー(ブラウン系・クリア系) | 水に溶け込む色で、スレたイカに警戒心を与えにくい |
朝夕のマズメ時 | アピールカラー(赤・オレンジ・ピンク) | 弱い光の中でも視認性が高く、遠くのイカにもアピール可能 |
曇天・濁り水 | アピールカラー(赤・オレンジ・ピンク) | 視界が悪くなる状況でも存在感を出せる |
プレッシャーが高い釣り場 | ナチュラルカラー(ブラウン系・クリア系) | 警戒心の強い個体に自然な印象を与える |
秋エギングのエギの動かし方(シャクリ・フォール)


エギのアクションは、「シャクリ+フォール」の繰り返しが基本です。
とくに秋のエギングでは、エギを自然に見せることが重要です。
激しく動かすよりも、メリハリのあるアクションを意識しましょう。
アクション名 | 特徴・動き | 有効な状況・効果 |
テンションフォール | シャクリ後に糸を張った状態でフォールさせる | エギの姿勢が安定し、視認性が高まる。イカに発見されやすい。 |
フリーフォール | 糸を張らずに自然に沈下させる | 自然な動きでスレたイカに有効。底付近を狙うときに効果的。 |
ギピギターン | ゆっくりと左右にダートさせつつ、フォールも交える | 秋のイカに有効。食わせの間を作れるテクニカルなアクション。 |


秋エギングに関するよくある質問


- 秋のエギングでは何号のエギを使えばいい?
-
春に生まれた小型の「新子イカ」がターゲットとなるため、2.5号か3.0号が適しています。
- ロッドは春と秋で使い分けたほうがいい?
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一般的に、春と秋でロッドを使い分ける必要はありません。MまたはMLクラスのロッドで、両シーズンとも十分に対応可能です。
- 秋エギングで狙い目のポイントは?
-
秋は浅場(シャロー)に新子イカが接岸しやすく、堤防・波止は足場も安定し、初心者にも安心です。また地磯は潮通しが良く、中型〜大型のイカも狙えます。
- 秋エギングのアクションやフォールで気をつけることは?
-
秋の子イカは活性が高く、小刻みなシャクリやフォールでエギを見せ、イカを追わせる操作が大切です。カーブフォール+ステイを長めに取ると、抱かせるチャンスが増えます。
- 春に釣れた場所は、秋でも釣れる?
-
秋に釣れた場所が春に釣れるとは限りません。秋のアオリイカは捕食行動が中心ですが、春は産卵場を探すために接岸するため、ポイントが異なる場合があります。
まとめ|秋はエギングデビューの絶好チャンス!
- 秋はコロッケサイズのアオリイカが数釣りできるチャンス
- おすすめタックル:L〜MLロッド+PE0.6号+2.5〜3号エギ
- シャローやテトラ周辺、地磯が好ポイント
- テンションフォールとフリーフォールの使い分けが釣果の鍵
- 反応がなければ移動を繰り返すのが秋エギング成功のコツ
秋はアオリイカが浅場に入り、初心者でも釣果が上げやすいシーズン。
軽量エギとライトタックルを使って、フォールとシャクリを組み合わせれば、しっかりと釣果が出ます。
とくに初心者の方においては、安全な堤防や波止を選び、偏光グラスやスパイクブーツを活用することも大切です。



今回の記事を参考に秋エギングを満喫してくださいね!
脚注
- 陸続きの岩場のこと。 ↩︎
- 浅い場所、浅場。 ↩︎
- 潮の流れと流れがぶつかる境界線。プランクトンなどが集まりやすく、ベイトフィッシュやイカの集まる好ポイントとなる。 ↩︎
- ロッドをあおってエギを跳ね上げたり、左右にダートさせたりするアクション。 ↩︎
- エギを沈める動作。イカがエギを抱きつくタイミングとして重要。 ↩︎
- リールに搭載された機能で、魚がラインを引き出す際の抵抗を調整する装置。ラインブレイクを防ぐ。 ↩︎
- ポリエチレン素材を編み込んだ釣り糸。細くて強度があり、伸びが少ないため感度が高い。 ↩︎
- メインライン(PEライン)の先に結ぶ、根ズレや魚の歯からメインラインを保護するための釣り糸。フロロカーボン製が一般的。 ↩︎