アオリイカは、たった1年という短い生涯の中で急速に成長し、繁殖・産卵を終えて命を閉じる不思議な生き物です。
釣りのターゲットとしても人気が高く、特に秋や春は絶好のシーズンとなっています。
本記事では、アオリイカの生態や季節ごとの行動パターン、釣れる時期、種類の見分け方など知っておきたい基礎知識をわかりやすく解説。
エギング初心者にとっても役立つ内容満載でお届けします。

アオリイカへの理解を深めたい方、ぜひ参考にしてみてくださいね。
1年という短い生涯を生き抜くアオリイカの生態


アオリイカは、驚くほど短命な生き物です。
多くの個体は、生まれてからわずか約1年~1年半で寿命を迎えるとされており、成長・交尾・産卵を急ピッチでこなす点で、他の海洋生物と一線を画しています。
なかには400日前後まで生存した記録もあるものの、きわめて速いサイクルで一生が進行します。
急速な成長や季節に応じて移動・繁殖を行う行動パターンは、いまだ謎が多く、現在も多くの研究者や機関が調査を続けている分野です。
しかし、その行動傾向には、釣り人の実体験とも重なる部分が多く、実地での観察や釣果データが生態の解明に役立つこともしばしば。
釣行を重ねるほどに見えてくる“アオリイカらしさ”は、学術的な研究とも共鳴する貴重な知見といえるでしょう。
冬から春にかけての行動パターン
秋の終わりとともに海水温が下がり始めると、アオリイカはより深い場所へと移動します。
寒さを避けて水温が安定した深場で過ごすこの期間は、アオリイカにとって体力を養う大切な時期。
餌をしっかりと摂りながら、次なる繁殖シーズンに向けて成長を続けます。
この時期のエギングでは、越冬場所の水深があるエリアや潮通しの良い場所がポイントです。
ただし、捕食活動は続けるものの警戒心が強くなるため、釣りの難易度はやや上がります。
春〜初夏は産卵シーズン
春になって水温が上昇してくると、アオリイカは再び浅場へと戻り、岩礁帯や海藻が繁茂する場所でペアとなって産卵をおこないます。
産卵を終えるとほとんどの個体はそのまま寿命を迎え、アオリイカの一生はわずか1年から1年半ほど。
わずかな期間に成長・繁殖・産卵までを完了する、まさに短くも密度の濃い命を生き抜く生き物なのです。
ちなみに、春のエギングは1年の中でもっとも大物を狙える絶好のチャンス。
レベルアップを目指すにも最適な季節です。
卵からふ化した子イカは水温の上昇とともに活性が上がり、夏場に急速に成長していきます。
春のエギングについては、以下の記事で詳しく紹介していますので、参考にしてみてください。


秋は年間でもっとも個体数が多い時期
9~11月頃には、春に生まれた子イカがエギングのターゲットになる20cm前後の大きさに成長します。
エサのベイトフィッシュが豊富な時期で、中型程度に成長したアオリイカも多く回遊し、なかには1kgを超えるものも。
秋は、春に孵化した個体が活発にエサを追う「第2次成長期」にあたります。
サイズは10〜20cm前後が多く、食欲も旺盛なので釣果が上がりやすい時期です。
個体によっては、秋の段階で繁殖行動に入る場合もあります。
秋は水温が安定し、透明度が高い日も多いため、アオリイカの姿を目視できる「サイトフィッシング」にも最適なシーズン。
以下のような点から、秋はエギングデビューにもぴったりな季節です。
- エギに対する反応が見られる
- 追尾行動が確認しやすい
- 釣りの学習効果が高い



とくに初心者の方にとっては、イカの行動を間近で観察できる絶好のチャンスなんですね。


アオリイカの各部の名称


エンペラ
魚のヒレにあたる部分で、丸みのある形状になっています。
目
アオリイカの目に色彩感覚はないとされています。
ただ、明暗や濃淡を感じ取る能力が高く、光の少ない夜間でもエサを捕食できるのが特徴です。
腕・触腕(しょくわん)
イカには腕が10本あります。
10本中2本が触腕で、ぐ~んと長く伸ばしてエサをすばやく捕食することが可能です。
漏斗(ろうと)
イカは泳ぐ際に海水を取り込みますが、排水するための器官が漏斗です。
排泄物も漏斗から出します。
外套膜(がいとうまく)
内臓を覆っている胴の部分です。
アオリイカの生息地域・ポイント


アオリイカの適水温と分布


アオリイカは高水温を好み、一般的に15〜17℃以上が適水温です。
晩秋から冬にかけては、水温の変化が少ない深場へ移動し、春の暖かい季節になるまで過ごします。
生息域は日本国内でいえば南は沖縄諸島から、近年の海水温上昇もあって北陸や東北地方の日本海側まで広がってきています。
おもなポイント
アオリイカのおもなポイント(釣り場)は、堤防・磯場・砂浜など沿岸部です。
とくに秋は堤防から狙いやすく、初心者でもエントリーしやすいポイントが多く存在します。


沖に面した堤防が狙い目で、なかでも堤防の基礎の部分は潮流の変化が生まれやすく。アオリイカの好ポイントです。
磯場は、イカのストック量が多いポイント。


海藻や沈み根があり、潮通しの良い場所が狙い目です。
砂浜やゴロタ石の海岸でも良く釣れます。


堤防のように混雑することもなく、ゆったり楽しめるのが魅力です。
アオリイカの種類とオス・メスの見分け方


アオリイカは、大きく分けて以下の3タイプが存在します。
タイプ名 | 特徴 | 生息地 |
アカイカ型 | 体色は赤みを帯び、大型(2〜3kg超)になることも | 太平洋沿岸に多く分布 |
シロイカ型 | 一般的に見られる白っぽい体色 | 日本各地で広く分布 |
アオリイカ型 | 青みがかかって見える個体 | 西日本〜南日本中心 |
それぞれのタイプは、生息地の水温や海流の影響を受けて分布しており、釣行する地域によって見られるアオリイカの姿も変わります。
色味やサイズ感を意識して観察すれば、イカの個性がより一層見えてくるでしょう。
ちなみに、アオリイカは胴体の模様の形でオスとメスを判別できます。
- オス:胴体に「縦縞状の模様」
- メス:胴体に「丸型の斑点模様」



下の画像のように、模様の違いは釣り上げた際に簡単に確認できますよ。


アオリイカの生態に関するよくある質問
- アオリイカの寿命はどれくらいですか?
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およそ1年ほどで一生を終えます。卵からふ化して成長し、繁殖を終えると死を迎えます。
- アオリイカはどこに生息していますか?
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日本を含む西太平洋やインド洋の暖かい沿岸部に広く分布しており、藻場や岩礁帯など隠れやすい場所を好みます。
- アオリイカはどんなエサを食べますか?
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おもに小魚やエビ、カニなどを捕食します。すばやく腕を伸ばして獲物を捕まえるのが特徴です。
- アオリイカは夜行性ですか?
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昼夜問わず活動しますが、とくに夕方から夜にかけて活発に捕食する傾向があります。
- アオリイカは群れで行動しますか?
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小型のうちは群れを作ることが多いですが、成長すると単独で行動することが増えます。
- 体色を変えるのはなぜですか?
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カモフラージュや仲間とのコミュニケーションに利用するとされています。皮膚の「色素胞(しきそほう)」を使って体色を変化させるのが特徴です。
- アオリイカはどのように繁殖しますか?
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春から初夏にかけて、海藻や海中の構造物に卵を産みつけます。オスはメスに精子カプセルを渡し、メスが受け取ったあとに産卵します。
- 卵からふ化するまでどれくらいかかりますか?
-
水温によりますが、だいたい2〜4週間でふ化します。
- 成長は早いですか?
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とても成長が早く、数か月で釣りの対象になるサイズに育ちます。
まとめ|アオリイカの生態や行動パターンを知っておこう
アオリイカは、日本の沿岸部を代表するルアーターゲットであり、その生態や行動パターンを知ることは、釣果を高めるうえで大きなヒントになります。
とくに、秋は入門にも最適な時期です。



今回の記事を参考に、生息地や個体の違いなどを押さえて効率よくエギングを楽しんでくださいね。